注文住宅で予算オーバーしたときの対処法

注文住宅でようやく土地探しが終わり間取り決めに取り掛かると、自分が本当にマイホームを建てるのだなと実感できるでしょう。しかし、いざ間取りに取り掛かってみると、なかなか予算との兼ね合いがつかないなどの問題にぶつかる人も多いはず。すでに土地を購入してしまったし注文住宅を建てずに後戻りすることはできません。そんなときは、どこかで妥協するしかないのでしょうか?安心してください。そんなことはありません。ちゃんと削れるところを削れば、予算オーバーの問題を解決できる可能性があります。そのときに、どのポイントを削るべきかわからないと思うので、ここで説明していきたいと思います。余計に削ってしまったり、削ってはいけないものを削ったりすると、注文住宅で後悔する原因をなります。

注文住宅で削れないポイントとは?

注文住宅で予算オーバーになりそうになった場合、ハウスメーカや工務店とどこを削っていくか相談していくことになります。一般的に、どこを削れるかのリストが作成され、依頼主に渡されるはず。注文住宅の施工側は経験上どこでどれくらいの金額が削れるかわかっています。しかし、そのリストに中には削ると後々後悔する結果に繋がる項目が混ざっていることがあります。注文住宅が建てばいいと安易に考えている会社だと特にそのような傾向にあります。依頼主がどこを削るか選択するので、建築会社に責任は大抵ないですからね。では、どのような点を削ってはいけないのでしょうか?ここでは2点取り上げます。


将来のことも考えて断熱性は維持!

そもそも断熱性能とは、住宅内に熱をどれくらい維持しておけるかを表しています。断熱性能が低いと住宅内を温めても熱がすぐに外に逃げてしまいます。一方で、断熱性能が高いと住宅内を温めても熱が外に逃げにくいです。一般的に断熱性能と聞くと冬場の寒い時期を想定しますが、実は夏場の熱い時期にも関係しています。住宅内で冷房をしたときに、どれくらいの時間で冷気が外に逃げてしまうかは断熱性能によって違います。

予算に応じて住宅に取り入れられる断熱性能には上限があることはしょうがないです。これはどうしようもありません。注文住宅を建てる人がすべきことは、自分が取り入れられる断熱性能の上限を選択し、予算がオーバーしたからといって断熱性能を下げないことです。

どうして断熱性能を下げてはいけないかわかりますか?それは断熱性能を下げるということは、住宅の住み心地を下げることを意味しているからです。断熱性能を下げたなら、「その分冷房とか暖房をガンガン使えばいいから別に問題ないでしょ」と反論してくる人がいるかもしれません。確かに冷房や暖房で解決できる面もあります。しかし、ちょっとしたところに断熱性能の違いが出てきて、住み心地が変わってしまいます。

その代表的なのが、冬場の結露です。注文住宅にかぎらず、どのような住宅でも朝起きたら窓ガラスが結露していた経験をしたことがあると思います。カーテンが湿ってしまったり、窓枠のカビに悩まされたり、その度にストレスが溜まり、この家は冬場住みにくいと感じた方も多いはず。

断熱性能を下げることで、住宅の住み心地は一変します。小さいことだと思うかもしれませんが、ちりも積もれば山となって結局は注文住宅の満足度に関わってきます。なので、断熱性能は下げないことをおすすめします。どうしても、削らないといけないときは開口部の断熱性は維持したままで、その他の断熱性能を下げるようにすることをおすすめします。開口部から熱が逃げていきやすいという研究結果が出ています。


暖房設備の性能も削れない

注文住宅で削ってはいけない項目のもうひとつが、暖房設備の性能です。一般家庭で使用されている暖房設備には以下のようにあります。

  • ・普通のエアコン
  • ・石油・ガスストーブ
  • ・まきストーブ
  • ・ペレットストーブ
  • ・蓄熱暖房機
  • ・電気ストーブ
  • ・床暖房

これらを使って住宅内を温めるわけです。確かにどの設備を使って、最終的に部屋は暖かくなります。しかし、人が快適に過ごせるような温度になるまでの時間は暖房設備の性能によって変わってきます。想像してみてください。性能が低い暖房設備を使って、寒い部屋でまだ温まらないのと凍えている姿を。予算オーバーだからといって、暖房設備を削ってしまうと、そのような状況に陥ってしまいます。特に全館空調を取り入れている住宅などで、暖房設備の性能を削ってしまうと、住宅の快適さは一気に落ちてしまいます。ただでさえ広い空間を暖めるのに、暖房設備が十分でないと快適な生活は送れませんからね。

確かに上にあるほとんどの暖房設備は注文住宅を建てた後でも、電気屋などで購入することができます。しかし、床暖などの埋め込み型の暖房設備を考えてみてください。暖房設備の性能が低いからと言って、簡単に取り替えることはできません。後々で暖房設備の性能をあげようとすると、リフォームが必要となり、金額的にも注文住宅を建てる時点で高い性能の暖房設備をつけていたほうが安かったということになりかねません。


削ってはいけない項目はこれだけではありません。でも、この2項目からわかる通り、住宅内の温度に関わるものは予算がオーバーしそうになっても削らないことをおすすめします。住宅の住み心地や注文住宅の満足度に直結してきますからね。



変えられる可能性があるが点とは?

上で、予算オーバーの際にもまず絶対に削ってはいけない項目を説明しました。予算オーバーしてしまったら、どこかを削ったり変更したりしないといけません。ということは、削れるところや変更できるところはあります。その中にも、優先度があるということです。ここでは、その優先度が低いところについて説明します。


間取りはなるべく変更しない

予算オーバーした際に、間取りを変更するとなるとどのような方法を思い浮かびますか?おそらく、不必要な壁を取り除いたり、細かい収納などを削ったりする方法でしょう。おそらくみなさんが想像している方法がだいたい合っています。間取りを位置から考え直すということはまずありません。設計者にも依頼主にも負担になりますからね。

設計者は依頼主の要望を聞いた上で間取りを提案してくれます。ほとんどの注文住宅の間取りの場合、どこかを変更したらどこかに歪が生じます。例えば、壁を取り除いた場合、住宅の冷暖房の性能に影響が出るでしょう。また、収納を減らしたら、その分だけ棚を置かなくなって部屋が狭くなってしまいます。後々でここに壁があったら、「快適な生活が遅れたのにな」なんてことになりかねません。

間取りを変更することで、確かに予算を減らすことができます。しかし、その分住宅の住み心地に歪が出てくるので注意してください。


建築面積を削るのは最終手段

間取りを減らしても予算がオーバーになった時に、最終手段としてあるのが建築面積を減らすことです。他サイトで、バルコニーやベランダなどに余分なスペースがないか確認してあったらそこを削ってしまおうみたいに書いてあるところもあります。しかし、そのような余分なスペースは設計者に提案された間取りにはほとんどありません。そんなところがあれば、依頼主よりも専門家である設計者がいち早く気がついているはずです。たとえ依頼主が余計だと思っても、設計者なりに計算されている場合がほとんどです。一見手っ取り早く、そうではありません。

こうは言ってみたものの、どうしても建築面積を減らさないといけないときもありえます。その時は設計者と相談して決めてください。


ここまではあまり優先的に削る、または変更すべきではないポイントについて説明してきました。共通していえるのは、その点を削ってしまうと注文住宅の住み心地に直結してきてしまうということです。なるべくなら上に合った項目は実践しないことをおすすめします。では、どの点を削ってもあまり影響がないのかと気になるでしょう。その点について以下で説明していきます。



優先的に削るべきポイントとは?

優先的に削るべきポイントは、大きく分けて2種類あります。それは、

  • ・設備の質を落とす方法
  • ・設備の数を減らす方法

この2つが大きくあります。これらの方法を組み合わせることで、予算オーバーを解消していくことがこの講座のおすすめです。では、具体的にどのようなところで実践できる方法なのか見ていきましょう。


設備の質を落とす方法とは?

注文住宅では、建売住宅の場合と違って、内装の設備も自分で選択することができます。特に水回りで選択肢が多く存在します。例えば、キッチンをどうするかなどが代表的な例です。食洗機やオーブンがついているかどうかだけではありません。キッチンの形状や大きさ、広さによって様々な種類があります。どれを使うかで、料理のしやすさや皿などの片付けのしやすさが変わってきます。また使っている材質によっても違います。様々な種類があるということは、さまざまなランクがあるということです。少しランクを下げたり、メーカを変えたりするだけで、金額がそれなりに下がることがよくあります。金額の下げ幅に対してどれだけの機能が落ちるのかを検討した上で、どの質まで設備を下げるのか決めましょう。金額の下げ幅だけを気にして設備を導入すると、後々で足りない機能やできないことに気がついて後悔します。耳にした話では、キッチンに内蔵されている電子レンジにオーブンの機能がついていると思ったのに、実際はついていなかったということです。

キッチンだけではなく、洗面台や浴槽、トイレにも同じことが言えます。水回り以外では、照明や床の材質なども該当します。よくよく検討した上で、どの設備をどれくらいの質に落とすのか決めてください。


設備の数を減らす方法とは?

住宅のなかには同じ設備だが、複数個あるものがあります。すぐに思い浮かぶのがトイレでしょう。日本の住宅は2階建てが主流なので、1階と2階にそれぞれトイレがある家が想像できるでしょう。しかし、トイレの数を減らすのは現実的ではありません。いちいち2階から1階へトイレのために降りるのは、面倒くさいですよね。

では、どんな設備の数を減らすことができるのでしょうか。結論から言ってしまえば、窓と照明です。すべての窓や照明を減らせるわけではないですが、部屋の風通しや明るさを考慮した上で、減らせるところがあるかもしれません。どこの窓や照明を減らせるかはそれぞれの注文住宅によって違います。設計者と相談してください。



ここまで読んでいただいて、予算がオーバーした時にどこを削ってよくて、どこは削ってはいけないのかわかったと思います。注文住宅を完成させるには、予算オーバーという問題は必ず解決しないといけません。しかし、住宅の住み心地を蔑ろにしてしまってはいけません。注文住宅の満足度を保ったうえで、予算オーバーを解決してください。どうしても解決できないときは、第三者に話を聞いてもらい、ハウスメーカや工務店を変えるなどの解決方法を検討してみるのもいいかもしてませんね。第三者として中立的な相談役はスーモカウンターなどがいいかもしれません。